今回はフルサイズミラーレスとして高い評価を得ていたα7IIIから、コンパクトなフルサイズを謳うα7CIIに乗り換えて半年以上が経ったので、両者を比較しつつレビューしてみます。
α7III|α7CII比較表
α7IIIとα7CIIは両方ともフルサイズセンサーを搭載したソニーのミラーレス一眼です。
α7IIIは発売が2018年3月。α7CIIは2023年12月発売です。
α7III | α7CII | |
有効画素数 | 約2420万画素 | 約3410万画素 |
連続撮影速度 | 最大約10コマ/秒 | 最大約10コマ/秒 |
静止画撮影可能枚数 | 液晶モニター使用時:710枚 | 液晶モニター使用時:560枚 |
動画性能 | 4K30p対応 | 4K 60p対応(約1.5倍のクロップあり) |
AF測距点数 | 最大693点 | 最大759点 |
被写体認識 | 瞳AF/被写体認識AF | 人物、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機 |
ファインダー | 0.5型 約236万ドット | 0.39型 約236万ドット |
背面モニター | 3.0型 チルト 92万ドット | 3.0型 バリアングル 104万ドット |
手ブレ補正 | 5段分 | 7.0段分 |
シャッター速度 | 1/8000秒 | 電子:1/8000秒、メカ:1/4000秒 |
フラッシュ同調 | 1/250秒 | 1/160秒 |
サイズ | 約126.9×95.6×62.7mm | 約124.0×71.1×63.4mm |
重量 | 約650g(バッテリー、メモリーカード含む) | 約514g(バッテリー、メモリーカード含む) |
AIプロセッセングユニット | 非搭載 | 搭載 |
価格 | 約237,000円 | 約275,000円 |
α7CIIのお気に入りポイント
1. 高解像度化によるトリミング耐性の向上
α7IIIは2420万画素でしたがα7CIIでは3410万画素へとアップ。
画素数アップは、トリミングの自由度を格段に向上させてくれました。
遠くの被写体や構図の再調整時にも遠慮なくクロップが可能で、これが地味に便利です。
2. 圧倒的な軽量化
α7III:約565gに対し、α7CII:約429gと100g以上軽くなりました。
初めて箱を持った時、「本体入ってる?」と不安になるほど。
旅行で一日中首から下げていても、重量が軽い分、肩への負担が減り、気軽に持ち出せるようになりました。「軽いは正義」を実感しています。
3. バリアングル液晶の利便性
α7IIIはチルト式でしたが、α7CIIはバリアングル液晶を採用。
これにより、ローアングルでの縦構図撮影、自撮り、物撮り時の微調整が格段にやりやすくなりました。特にローアングルでの縦構図撮影は、スナップ派には大きなメリット。
また、動画撮影をする人にはバリアングルは必須レベルと感じます。
4. タッチパネル操作で直感的なAFポイント移動
α7CIIはジョイスティックこそ非搭載ですが、タッチパネル対応により、AFポイントをワンタッチで変更できます。
ただし、後述しますが、誤タッチによる意図しないAFポイント移動の問題も発生することがあります。
5. 前ダイヤル&カスタム可能な上部ダイヤルの復活と強化
α7CIIでは前ダイヤルを搭載し、さらに上部ダイヤルはカスタム可能。
私はISOを上部ダイヤルに割り当てることで、Mモード撮影時の操作性が格段に向上しました。
α7IIIの頃はISO調整を背面ダイヤルで行っていて、親指の移動が億劫でしたが、今ではより直感的な操作が可能になりました。
6. 写真・動画設定の即切り替え
α7CIIでは、写真用・動画用の設定が独立管理。
レバー一発でモードを切り替えられるため、突然動画を撮りたくなっても素早く対応できます。
これによりシャッターチャンスを逃すリスクも減りました。
7. 強化されたAF性能(動物対応のAIAF)
もともと風景中心の撮影が多い私にとって、α7IIIのAFでも不満はありませんでしたが、α7CIIではさらに進化。動物や虫、車、列車、飛行機にも対応し、より多様なシーンでピントを外さない撮影が可能になりした。
8. 4K60p対応(ただしクロップあり)
動画派にとっては4K60p対応は大きな進化です。
ただしクロップ(APS-C画角)が入るため、画角の変化は覚悟が必要。贅沢をいえばクロップなしなら満点でしたが、上位機種との住み分けもあるのでしょう。
こういった時にAPS-C用レンズがあると便利です。
9. 4:2:2 10bit対応 & S-Cinetone
α7CIIは4:2:2 10bitでの内部収録が可能。
α7IIIで苦手だったカラーグレーディングも、α7CIIはS-Cinetoneを活用することでかなり自由度が上がり、DaVinci Resolveで「思い通り」の色調整が可能に。動画表現の幅が大幅に広がりました。
10. 押しやすい録画ボタン & 新UI
録画ボタンの位置が改善され、より動画向けの操作性に。
また、新UIは直感的で使いやすいと言われますが、私は海外版を購入したため、日本語非対応で多少手探り状態。慣れれば大きな味方になりそうです。
気になったデメリット
1. グリップの浅さによるホールド感の低下
コンパクトさと引き換えに、α7IIIより持ちやすさはやや低下。
長時間ホールドする場合は、底面プレートやL字プレートを装着して小指のかかりを良くすると安定します。
2. ファインダーが少し見にくい
ファインダーのアイカップが小型でやや見づらいので、α7IIIの時と比べてファインダーを見ながら撮ることが減った気がします。
追加のアイカップを装着するのもいいかもしれません。
3. 言語設定の制約(海外版購入時)
タイで購入したため日本語対応ができず、英語メニューに苦戦。
新UIと機能増で、最初は目当ての設定を探すのに手間取りました。
国内版を買う方は問題ないと思いますが、海外で購入を検討している方は要注意です。
4. マルチセレクター非搭載
AFポイント移動に便利だったマルチセレクターは搭載されていません。
しかしタッチフォーカスに慣れればそちらの方が早く大きな問題ではなくなります。
5. タッチパネルの誤作動
バリアングル液晶を出し入れする際、うっかり画面に触れてしまい、AFポイントが意図せぬ位置へ飛ぶことがしばしば。タッチ操作OFFにもできると思いますが、それはそれで面倒ですし。
タッチ操作と引き換えに、こういった誤動作リスクも増えました。
6. SDカードスロット1つ減
α7IIIでは2スロットでしたが、α7CIIは1スロット。
プロやバックアップ必須の仕事派には痛手かもしれません。
趣味撮影の私にとっては、1スロットで十分問題なしです。
7. 4K60p時1.5倍クロップ
贅沢を言えばクロップなしで4K60pに対応して欲しかった、というのが正直なところ。
上位機種との差別化もあるので、仕方ない部分でもあります。
総評
総合点は100点中90点といったところでしょうか。
α7III自体が当時フルサイズミラーレスの完成度の高いモデルでしたが、α7CIIは、さらなる進化を遂げ「新しいコンパクトスタンダード」といった印象です。
ソニーは最新機種に新機能を惜しみなく投入する傾向があるため、下位機種でも最新テクノロジーが使えるのは嬉しいですね。
α7IVを飛ばしてα7CIIを導入したのは大正解でした。
もし、α7IVユーザーだったら、より小型軽量なα7CIIの革新ぶりに嫉妬していたかもしれません。
多少の気になる点はありますが、それらをはるかに超えるメリットがあります。
α7IIIからのステップアップを考えている方には、α7CIIは非常におすすめできるカメラです。
以上が、8ヶ月使い込んで感じたリアルなレビューでした。
ぜひ購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
そして次に出るであろうα7Vが気になるところです。。
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