シネマティックな写真を撮るための3つの秘訣

カメラ

「シネマティックな写真」というと、ティール&オレンジの色調補正や、背景を大きくぼかした写真を思い浮かべると思います。

しかし、これらは作品をシネマティックにする上で最も重要な要素というわけではありません。

実際のところ、様々な種類の映画が異なる色調補正を採用しているにもかかわらず、全てがシネマティックに感じられます。

今回は映像をどのように「シネマティック」にしているのか、また写真撮影にその要素を応用する方法について3つご紹介します。

あなたの写真をより魅力的に、そして立体的に見せるために役に立つ記事になっていると思います。

1. 光のレイヤーで「奥行き」を生み出す

写真撮影を始めたばかりの人が、新しいレンズを手に入れるとすぐに浅い被写界深度(背景をぼかすこと)を多用しがちです。

しかし、これは「奥行き」を生み出す最も単純で効果の低い方法です。

映画撮影や写真において、「奥行き」は被写体を背景から分離し、被写体を立体的に感じさせるために非常に重要です。

映画が三次元的に感じられるのに対し、ニュース映像が平坦に見えるのはこの奥行きの有無によるものです。

浅い被写界深度を使わずに奥行きを生み出す、より効果的な方法は、「光のレイヤー」を利用することです。これは、ほとんど全ての映画で使われている、映画撮影の最も基本的な要素です。

  • 光のレイヤーとは?
    通常、映画では被写体の顔の約2/3が光に照らされ、残りの1/3が影になるようにライティングされます。これにより、光が被写体を包み込んでいるような感覚が生まれます。この光は、被写体における影、光、そして背景の影、背景の光というように変化することで奥行きを生み出します。これは純粋に影と光、そしてそれらの変化によるものです。
  • 写真での応用:
    • 真昼の太陽光は避ける:真昼の太陽光は全てを平坦に見せてしまうため、避けるのが最善です。
    • 午前中や午後の遅い時間帯に撮影する:太陽が空の低い位置にあるこれらの時間は、光に角度が生まれ、奥行きを作りやすくなります。
    • 被写体の影側から撮影する:もし光のコントロールが難しい場合でも、被写体の影側から撮影することを試してみてください。これにより、画像が平坦に感じることはめったにありません。被写体の背後に太陽光などによるリムライト(縁の光)があるような状況であれば、奥行きを作る良い位置にいると言えるでしょう。

2. 「柔らかく拡散された光」を味方につける

光は写真の最も重要な要素の一つですが、全ての光が同じではありません。

映画撮影において最も重要な種類の光は、「柔らかく拡散された光(soft diffused light)」です。これが映画にあの美しく「幽玄な雰囲気」を与えます。

映画撮影監督は、たとえ日中の厳しい光の下であっても、巨大なディフューザーやネガティブフィル(光を遮る大きな黒いシートやパネル)を使って光をコントロールし、柔らかい光を作り出しています。

もちろん、私たちが高価な機材を使う必要はありません。写真で柔らかい光を得るには、以下の方法があります。

  • 柔らかい光を得る理想的な時間帯:一般的に、日没直前・直後、または日の出直前・直後に撮影すると、最も柔らかい光を得ることができます。これらはブルーアワーゴールデンアワーと呼ばれ、写真の全体的なルックアンドフィールを完全に変えるような非常に興味深い色調も得られます。
  • 光の角度:これらの時間帯は、光が非常に低い、つまり横から差す光になるため理想的です。これは、被写体を撮影する際に光が真上からではなく、横から当たることを意味します。
  • 霧や靄の活用:これらの時間帯に霧や靄(もや)が発生すると、非常に興味深い質感のある光が生まれ、これもまた非常にシネマティックです。

ただし、注意点として、常に柔らかい光を待つ必要はありません。

素晴らしい写真を撮る機会を逃してしまう可能性もあるため、ルールに縛られすぎずに柔軟に対応することも大切です。しかし、柔らかい光で撮影できれば、写真は格段に美しく、シネマティックに感じるでしょう。

3. 「物語」を語る「被写体」を設定する

最高の撮影技術を持っていても、物語がなければ、それはただの綺麗な写真に過ぎません。写真も同じです。見る人に「誰だろう?」「何をしたいのだろう?」「どこへ行くのだろう?」「何をしているのだろう?」といった疑問を投げかける「被写体」を設定し、物語を語る必要があります。これが視聴者に興味を持たせ、好奇心をかき立てます。

  • 被写体の多様性:被写体は、人物、動物、建物、あるいは道端の小さな標識のような小さなディテールでも構いません。重要なのは、それが見る人に疑問を投げかけ、少しでも物語を語り始めることです。

まとめ

シネマティックな撮影する上で不可欠だと考える3つの要素は、以下の通りです。

  • 物語を語る被写体を持つこと
  • 柔らかい光を作り出す、または利用すること
  • 奥行きを生み出すこと

これらの要素を実践することで、あなたの写真はより三次元的に感じられ、確実に向上するでしょう。多くの人が編集やカラーグレーディング(特にティール&オレンジ)がシネマティックさの最も重要な部分だと考えていますが、それは最も重要な部分ではありません。異なる映画はそれぞれ異なる色調補正スタイルを持っていますが、それでも全てがシネマティックだと感じられるのです。

これらのヒントがあなたのシネマティックな写真撮影に役立つことを願っています。

タイトルとURLをコピーしました