カメラ選びで迷わない!センサーサイズの違いを徹底解説

カメラ

カメラを選ぶ際、「フルサイズ」「APS-C」といったセンサーサイズの違いについて耳にすることがあると思います。センサーサイズは、写真の画質やカメラの特性に大きく影響を与える重要な要素です。ここでは、カメラ初心者の方でも理解しやすいように、主要なセンサーサイズの特徴とその違いについて解説します。

デジタルカメラやミラーレスカメラに内蔵されているイメージセンサー(撮像素子)の大きさのことを「センサーサイズ」といいます。イメージセンサーは、写真の光を集めて画像に変換する、カメラの心臓部となる部品です。

イメージセンサーの役割と種類

一般的に、センサーサイズが大きいほど、より多くの光を取り込むことができ、高画質になる傾向があります。しかし、その分、カメラ本体のサイズも大きくなり、価格も高くなる傾向があります。

現在、市場に出回っているカメラでよく使われているセンサーサイズは、大きい順に「中判」「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」などがあります。

フルサイズ(35mm判)

フルサイズセンサーは、約36mm × 24mmのサイズを指します。これは、かつてのフィルムカメラで広く用いられた「135フィルム」(35mmフィルム)の画面サイズとほぼ同じであることに由来しています。

Note

フルサイズはデジタルカメラの中では比較的大きいサイズであり、以前はプロやハイアマチュア向けのハイエンド機種に主に使われていました。最近ではミラーレスカメラの普及により、小型のフルサイズ機種も増え、手軽に利用できるようになっています。

APS-Cサイズ

APS-Cは「Advanced Photo System type-C」の略称で、フルサイズの次に多く使われているセンサーサイズです。サイズはフルサイズよりも一回り小さく、約23.6mm × 15.8mm程度です(メーカーによって若干の大小があります)。フルサイズと比較して、APS-Cセンサーはフルサイズの約2/3程度の大きさです。

Note

このサイズは、カメラやレンズをフルサイズよりも小さくできるため、価格も安価な傾向があり、カメラ初心者が最初に手に取る機会が多いバランスの取れたサイズです。

マイクロフォーサーズ(MFT)

マイクロフォーサーズは、APS-Cよりもさらに小さいセンサーサイズで、約17.3mm × 13.0mmです。この規格は、オリンパス(現OMデジタル)とパナソニックが2008年に共同で策定した統一規格です。

Note

センサーサイズを小型化することで、カメラ本体とレンズを非常にコンパクトで軽量にすることが可能となっており、高い機動性が特徴です。

中判(ラージフォーマット)

中判センサーは、フルサイズよりもさらに大きく、現在一般向けに発売されているカメラの中では最も大きいセンサーサイズです。中判デジタルのサイズは、約43.8mm × 32.9mmが一般的です。

Note

画質を追求する上級者向けの規格であり、その分、カメラ本体は大きく、価格も高価になります。富士フイルムのGFXシリーズやハッセルブラッドなどが採用しています。

センサーサイズの違いは、特に「画質」「ボケ」「画角」の3つの要素に大きく影響します。

画質・暗所性能(ノイズ)

センサーサイズが大きいほど、取り込める光の量が多くなります。

フルサイズカメラは、広いダイナミックレンジと細かい描写力により、優れた画質を実現します。特に、暗い場所での撮影時にISO感度を高く設定してもノイズが少なく、高感度性能に優れています。

ダイナミックレンジとは、カメラが一度に記録できる最も暗い部分から最も明るい部分までの明るさの範囲(幅)のことで、広いほど白飛びや黒つぶれがしにくくなります。フルサイズは1画素あたりの受光面積が大きいため、より多くの光情報を捉えられます。

一方、マイクロフォーサーズのようにセンサーが小さい場合、物理的な理由からISO感度を上げすぎるとノイズが乗りやすくなる傾向があります。

ボケ(被写界深度)と画角(焦点距離)

センサーサイズは、写真のボケ感にも大きく関わります。

被写界深度とは、ピントが合っている範囲の深さのことです。センサーサイズが大きいフルサイズは、被写界深度が浅くなり、背景を大きくぼかした(ボケの大きい)印象的な写真が撮りやすくなります。ポートレート撮影などで特に魅力的です。

逆に、マイクロフォーサーズは被写界深度が深くなるため、ピントが合いやすく、初心者でも扱いやすいというメリットがあります。

また、同じ焦点距離のレンズを装着して撮影した場合、センサーサイズが小さいカメラほど写る範囲が狭くなります。この現象はクロップファクターと呼ばれ、あたかも望遠レンズを使ったような効果が得られます。

  • フルサイズを基準(1.0倍)とした場合、一般的なAPS-Cでは焦点距離が約1.5倍相当になります。CanonのAPS-Cでは約1.6倍相当です。
  • マイクロフォーサーズでは焦点距離が2倍相当となります。

このため、APS-Cやマイクロフォーサーズは、遠くの被写体を撮りたい野鳥撮影やスポーツ撮影において、望遠効果を活かせるメリットがあります。

コストと機材の大きさ

センサーサイズは、システム全体の価格や携帯性にも影響します。

フルサイズは、センサーの製造コストが高いため、カメラ本体だけでなく、対応するレンズも高価になる傾向があります。また、センサーサイズが大きいため、ボディも大きく重くなる傾向があり、携帯性には不利です。

一方、APS-Cカメラやマイクロフォーサーズカメラは、本体価格が比較的安価で、小型・軽量なモデルが多く、旅行や日常のスナップ撮影などに適しています。特にAPS-C専用に設計されたレンズはコンパクトになります。

どのセンサーサイズが最適かは、撮影目的やスタイルによって異なります。

フルサイズがおすすめの人

  • 最高画質を求め、作品作りやプロレベルの撮影を目指す人。
  • ポートレートや風景写真を高画質で撮りたい人。
  • 暗所撮影(夜景、星景など)を重視し、ノイズの少ない写真を撮りたい人。
  • 予算に余裕があり、機材の大きさや重さを許容できる人。

APS-Cがおすすめの人

  • 初めてカメラを購入する初心者や、趣味で写真を楽しみたい人。
  • 軽量・コンパクトな機材で、画質と携帯性のバランスを求める人。
  • コストパフォーマンスを重視する人。
  • 望遠効果を活かしたい人(Canonでは焦点距離が約1.6倍、他メーカーでは約1.5倍相当)。

マイクロフォーサーズがおすすめの人

  • とにかくコンパクトで軽量な機材を求めている人。
  • 旅行や登山など、長時間持ち歩く撮影がメインの人。
  • 強力な手ブレ補正を活かした手持ち撮影や動画撮影を重視する人。
  • 望遠撮影(野鳥やマクロ撮影)をメインに行いたい人。

どのセンサーサイズを選んでも、それぞれの特性を理解し、それに合った設定で撮影すれば素晴らしい写真が撮れます。まずは「何を撮りたいか」「どんなシーンで使いたいか」を考えることが、後悔しないカメラ選びの第一歩となります。

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