Appleは2025年10月16日に、次世代のM5チップを搭載したパワフルな新型iPad Proを発表しました。新しいiPad Proは、パフォーマンス、AI機能、そしてワイヤレス接続が大幅に進化しており、極めて持ち運びやすいデザインの中に驚異的なパワーを詰め込んでいます。
発売日と価格、デザイン
発売日と予約情報
M5チップを搭載した新しい11インチiPad Proと13インチiPad Proは、発表日である10月16日(日本時間)より予約注文が開始されており、販売は2025年10月22日(水)より開始されます。
サイズとデザイン
新型iPad Proは、驚くほど薄くて軽いデザインが特徴です。
- 11インチモデル:厚さ5.3mm、重量444g(Wi-Fiモデル)/ 446g(Cellularモデル)。
- 13インチモデル:厚さ5.1mm、重量579g(Wi-Fiモデル)/ 582g(Cellularモデル)。
特に13インチモデルの5.1mmという薄さは、iPad史上最も薄いデザインです。カラーは、スペースブラックとシルバーの2色から選べます。
モデル構成と価格(税込)
M5搭載の新しいiPad Proは、11インチと13インチの2サイズで提供されます。ストレージ容量は256GBから2TBまでの構成が用意されています。
| モデル | 接続 | ストレージ | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 11インチ iPad Pro | Wi-Fi | 256GB〜 | 168,800円〜 |
| 11インチ iPad Pro | Wi-Fi + Cellular | 256GB〜 | 204,800円〜 |
| 13インチ iPad Pro | Wi-Fi | 256GB〜 | 218,800円〜 |
| 13インチ iPad Pro | Wi-Fi + Cellular | 256GB〜 | 254,800円〜 |
学生・教職員価格も提供されており、11インチモデルは152,800円から、13インチモデルは199,800円からです。
M5チップの主要スペックと性能比較
M5チップは、Appleが独自に設計した次世代システムオンチップであり、TSMCの第3世代3ナノメートルプロセス(N3P)を使用して作られています。
M5チップのアーキテクチャ
M5チップは、以下のような構成で、チップのほぼすべての面で進化を遂げています。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| CPU | 最大10コア(高性能コア4、高効率コア6) |
| GPU | 10コアGPU(各コアにNeural Acceleratorを搭載) |
| Neural Engine | 16コア(改良された高速版) |
| メモリ(RAM) | 12GB(256GB/512GBモデル)または16GB(1TB/2TBモデル) |
| メモリ帯域幅 | 153GB/s |
前機種(M4/M1)との性能比較
M5チップは、AI性能とグラフィックス性能において、前世代のM4チップやM1チップ搭載モデルから飛躍的な向上を果たしています。
| 性能指標 | M4搭載iPad Proとの比較 | M1搭載iPad Proとの比較 |
|---|---|---|
| AIパフォーマンス | 最大3.5倍高速 | 最大5.6倍高速 |
| ピークGPU演算性能(AI) | 4倍を超える | 6倍を超える |
| 3Dレンダリング (レイトレーシング) | 最大1.5倍高速 | 最大6.7倍高速 |
| GPU/グラフィックス性能 | 最大45パーセント高いパフォーマンス | - |
| CPUマルチスレッド性能 | 最大15パーセント高速 | - |
| ストレージ読み書き速度 | 最大2倍高速 | - |
AI機能の強化とメモリの増量
M5チップの10コアGPUは、各コアに専用のNeural Acceleratorを備えた新しいアーキテクチャを採用しており、GPUベースのAIワークロードの実行が劇的に高速化されます。これにより、Draw Thingsなどのアプリでの拡散モデルによる画像生成や、DaVinci ResolveなどのアプリでのAIビデオマスキングといった幅広い作業が高速化されます。
また、新しいiPad Proでは、256GBおよび512GBモデルの標準ユニファイドメモリ容量が、M4世代の8GBから12GBへと50パーセント増加しました。ユニファイドメモリ帯域幅もM4より約30パーセント増加し153GB/sに達しており、より大規模なAIモデルを完全にデバイス上で実行できるようになります。
ディスプレイと通信機能の進化
Ultra Retina XDRディスプレイの機能
iPad Proは、引き続きUltra Retina XDRディスプレイ(タンデムOLEDテクノロジーを採用)を搭載しています。
- 輝度:SDRおよびHDRコンテンツで1,000ニト(フルスクリーン)に対応し、HDRでは1,600ニトのピーク輝度に対応します。
- オプション:高い品質で色を扱うワークフローや難しい光の条件下で作業するユーザー向けに、映り込みを減らすNano-textureディスプレイガラスのオプションが提供されています。
- 外部ディスプレイ:最大120Hzの外部ディスプレイを使用できるようになり、新たにAdaptive Syncにも対応することで、ゲームなどの低レイテンシーが求められるクリエイティブなワークフローでパフォーマンスが向上します。
次世代ワイヤレス接続(N1およびC1Xチップ)
新型iPad Proは、最先端のワイヤレステクノロジーに対応するために、Appleが設計した新しいワイヤレスチップを搭載しました。
- N1チップ:全モデルに搭載され、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Threadを利用可能にします。N1チップは、5GHzネットワークでのパフォーマンス向上や、AirDropなどの機能の全体的な信頼性を向上させます。
- C1Xモデム:Wi-Fi + Cellularモデルに搭載され、M4搭載のiPad Proと比較して最大50パーセント高速なモバイルデータ通信パフォーマンスを実現します。また、モバイルデータ通信を利用している場合の消費電力はM4モデルよりも最大30パーセント少なくなります。
- 高速充電:高速充電に対応し、高ワット数のオプションのUSB-C電源アダプタ(40Wダイナミック電源アダプタなど)を使用すると、約30分で最大50パーセントまで充電できます。
対応アクセサリの互換性
M5搭載の新しいiPad Proは、Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)の両方に対応しています。
Apple Pencil Proは、スクイーズやバレルロール、触覚フィードバックといった先進的な機能を備え、iPad Pro上で直感的な操作やクリエイティブな作業を可能にします。新型iPad ProはM4モデルと同じ筐体デザインを継承しているため、既存のMagic Keyboardやケース類がそのまま使える利点があります。
M5 iPad ProとM4 iPad Proの違い
M5 iPad Proは、M4世代で実現した薄型デザインや有機ELディスプレイ(Ultra Retina XDR)といった外観の大きな進化を引き継ぎつつ、主に内部のチップセットとワイヤレス接続技術を刷新することで、AI時代への対応を強化したモデルです。
| 項目 | M5 iPad Pro (2025) | M4 iPad Pro (前世代) | 主な進化点 |
|---|---|---|---|
| チップ | M5 (最大10コアCPU/10コアGPU) | M4 (最大10コアCPU/10コアGPU) | GPUにNeural Acceleratorを搭載し、AI性能が最大3.5倍に向上 |
| RAM (256/512GBモデル) | 12GB | 8GB | 標準メモリが50%増量され、マルチタスクやAI処理に有利 |
| メモリ帯域幅 | 153GB/s | 約120GB/s (M4より約30%増加) | 大規模なAIモデルのデバイス上実行が可能に |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (N1チップ搭載) | Wi-Fi 6E (推定) | より高速で安定した次世代ワイヤレス通信に対応 |
| モバイルデータ通信 | C1Xモデム搭載 | - | 通信速度が最大50%向上し、電力効率も改善 |
| 外部ディスプレイ出力 | 最大120Hz、Adaptive Sync対応 | - | 外部ディスプレイでの映像表現がより滑らかに |
| 充電 | 高速充電対応(30分で最大50%) | 20W充電(推定) | クリエイティブな作業を中断せずにバッテリー回復が可能 |
M5 iPad Proは、M4モデルからのアップグレードというよりは、タブレットをAI時代のプロフェッショナルなワークステーションとして完成させるための、内部的な「静かなる革新」を遂げたモデルと言えます。


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