測光モードを理解して写真の明るさを思い通りにコントロールしよう!

カメラ

測光モードは、カメラが「光」を「測る」方法を決定する重要な機能で、これを使いこなすことで、イメージ通りの明るさの写真を撮れるようになります。今回は「測光モード」について、その種類と使い方を解説します。

測光とは、その名の通り「光」を「測る」ことです。カメラは、レンズから入る光の明るさレベルを読み取り、それを元に最終的な写真の明るさ(露出)を決定します。

オートモードで撮影すると、カメラは被写体の適切な明るさを判断し、絞りやシャッタースピード、ISO感度を自動で調整してくれます。これを「AE(自動露出)」と言います。

しかし、人間の目は明るい場所も暗い場所も脳内で適切に補正して認識できますが、カメラはそこまで賢くありません。逆光で顔が暗くなったり、白い花が真っ白に飛んでしまったりするのも、カメラと撮影者の明るさの判断基準が異なるために起こります。
そこで、撮影者とカメラの間で明るさの判断基準を合わせるために役立つのが「測光モード」なのです。

主な測光モードの種類

測光モードは主に以下の3つの種類があります。カメラメーカーによって呼び方が異なる場合がありますが、基本的な機能は同じです。

1. 評価測光モード(マルチパターン測光モード、マルチ測光モード、多分割測光)

  • 概要: 画面全体を細かく分割し、それぞれの明るさや色の情報を総合的に評価して露出を決定するモードです。カメラがシーン全体を平均的に読み取り、明るいハイライトと暗いシャドウの間のバランスを見つけようとします。最近のカメラでは、明るさだけでなく色や距離も考慮して最適な明るさを判断します。
  • 特徴:
    • ほとんどのカメラで初期設定されているモードであり、幅広い被写体に対応できます。
    • 風景写真や一般的なストリート写真、ポートレートなど、全体的に均一に光が当たっている場面に適しています。
    • 光が均等に当たっているシーンで特に得意です。
  • 注意点:
    • シーン内に非常に明るい部分と非常に暗い部分が混在している場合、カメラが騙されて中間的な露出になり、重要な細部が失われる可能性があります。
    • 背景が明るい逆光のシーンなど、明るい領域が多いと写真が暗め(アンダー)になる傾向があります。逆に暗い部分が多いと明るめ(オーバー)になる傾向があります。
    • 逆光時や画面内に明るい部分と暗い部分が混在しているシーンにはあまり向いていません。
  • 使用例: 街を歩きながら撮影する場合や、広大な風景を撮影する場合に「評価測光」はバランス良く自動で調整してくれるため、多くの場面で役立ちます。

2. 中央重点測光モード

  • 概要: 画面の中央部分に最も重点を置いて測光し、周辺部には少しだけ配慮しながら露出を決定するモードです。フィルム時代の一眼レフカメラで多く採用されていました。
  • 特徴:
    • 被写体が画面の中央にある場合や、画面の大部分を被写体が占めている場合に特に有効です。
    • クラシックなポートレートや商品撮影など、中央の被写体を優先して露出を合わせたい場合に非常に便利です。
    • 人物や花など主題がはっきりしていて、「日の丸構図」のように画面の中央に被写体を配置するシーンに使いやすいです。
  • 注意点:
    • 被写体が画面の中央から外れている場合(例えば「三分割法」の構図など)、露出がずれて被写体が暗すぎたり明るすぎたりする可能性があります。
  • 使用例: 広場の中央に立つ像や、広大な野原に立つ一本の木など、中央の被写体が重要なシーンで被写体を適切に露出させるために役立ちます。

3. スポット測光モード

  • 概要: 画面のごく狭い範囲(フレーム全体の1〜5%)の明るさだけを基準に露出を決定するモードです。指定したポイント以外の領域は露出判断から無視されます。
  • 特徴:
    • 逆光など、明暗差が非常に大きい高コントラストなシーンで、狙った被写体(例えば顔や明るい花)の露出をピンポイントでコントロールしたい場合に最適です。
    • 被写体を適切に露出させ、背景を自然に暗くしたり(自然なビネット効果)、明るくしたりと、写真の雰囲気を大きく変えることができます。
    • 野生動物の撮影にも優れており、空や背景ではなく、動物自体に正確に露出を合わせることで、被写体を際立たせることができます。
    • 特定のカメラでは、フォーカスポイントと測光ポイントを連動させられるため、ピントを合わせた場所で測光できると非常に便利です。
  • 注意点:
    • 非常に狭い範囲を測光するため、測光する場所が少しでもずれると露出が大きく変化してしまうため、より慎重な操作が求められます。
    • 誤って被写体ではない明るい背景などを測光してしまうと、メインの被写体が暗くなりすぎたり、明るくなりすぎたりする可能性があります。
  • 使用例: 舞台やライブ撮影でスポットライトが当たっている人物、室内から窓の外の景色を撮る時、逆光で人物を撮影する時など、光の明暗差が大きい状況で威力を発揮します。

補足:ハイライト重点測光モード

  • 概要: 一部の最新カメラに搭載されているモードで、画面内で最も明るい領域を自動的に検出し、そこに重点を置いて測光することで、ハイライト部の白飛びを防ぎます
  • 特徴:
    • 白飛びしやすい被写体や状況で非常に有効です。
    • 基本的に写真全体が暗めになりますが、RAW現像やレタッチを前提とする場合に、白飛びによるデータ損失を防ぐのに非常に役立ちます。
  • 使用例: スポットライトが当たる舞台撮影で人物の顔の白飛びを防ぐ、結婚式のウェディングドレスなど白く飛びやすい被写体を撮影する際に安心感があります。

測光モードの使い分けとAEロックの活用

どの測光モードを選ぶかは、目の前のシーンによって変わります。「この写真で最も重要な部分は何だろう?」と自問し、その結果を得るのに最適なモードを選ぶことが重要です。

  • 「評価測光+露出補正」から始めるのがおすすめ
    • 最近のカメラは評価測光の性能が向上しており、自動で決定される露出が人間の感覚に近いことが多いです。
    • ミラーレスカメラでは、露出補正の結果がファインダーでリアルタイムに確認できるため、初心者でも直感的に調整できます。
    • もし評価測光を使っても頻繁に露出補正が必要になるようであれば、他の測光モードを試してより快適な撮影ができるか考えてみましょう。
  • 理想の露出決定プロセス: シーンに応じた適切な測光モードを選択し、「理想の7割の露出決定」を行い、残りの「3割を露出補正で調整」するように意識すると良いでしょう。
  • AEロック(AE-L)の活用:
    • スポット測光など、測光する位置を特定して露出を決めたいが、その後構図を変えたい場合に非常に便利な機能です。
    • 「AE-L」ボタンを押すことで、測光した部分の露出設定を固定し、カメラのアングルを変えても露出がずれる心配なく撮影できます。
    • 特に、カメラのスポット測光ポイントが画面中央に固定されており、フォーカスポイントと連動しない機種の場合に役立ちます。

まとめ

測光モードは地味に感じるかもしれませんが、写真を思い通りの明るさで撮るための土台となる非常に重要なツールです。それぞれのモードの特性を理解し、自分がどんな写真を撮りたいのか、そのシーンで何が最も重要なのかを意識して使い分けることで、より一貫した露出とイメージ通りの写真表現が可能になります。

まずは、お手持ちのカメラで各測光モードを試してみて、どのように露出が変化するかを確認することをおすすめします。使えば使うほど、それぞれのモードの特性が分かり、あなたの写真表現の幅が広がっていくはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました