ソニーの「αシリーズ」は、ミノルタ時代のAマウントから、ミラーレス化されたEマウントへと大きく進化してきました。
本記事では歴代αシリーズをタイムライン(年表)でシンプルに整理しています。
ミノルタ/コニカミノルタ時代(1985年〜2006年)Aマウントの誕生
αブランドは、1985年にミノルタが開発したレンズ交換式一眼レフカメラのブランドとして始まりました。
- 1985年2月α-7000
世界初の本格的なオートフォーカス(AF)システム一眼レフカメラとして登場し、「αショック」と呼ばれる大きな影響を業界に与えました。Aマウント規格はこの機種で初採用されました。
- 1985年8月α-9000
αシリーズ初のプロフェッショナル用フラッグシップ機です。
- 1986年3月α-5000
α-7000の廉価版として発売されました。
- 1988年5月α-7700i
αシリーズの第2世代モデル。オートフォーカス測距点を3カ所に増やし、動体予測オートフォーカスを搭載しました。
- 1989年7月α-3700i
第2世代の最廉価モデル。当時、AF一眼レフカメラとして世界最小最軽量モデルでした。
- 1989年8月α-5700i
αシリーズ初のフラッシュ内蔵型一眼レフカメラです。
- 1990年2月α-8700i
α-7700iの改良型で、ミノルタでは初のシャッタースピード1/8000秒を装備しました。
- 1990年10月α-8700iミール
ソビエト連邦の宇宙ステーション「ミール」搭載を記念した限定バージョンです。
- 1991年6月α-7xi
αシリーズの第3世代モデル。「ゼロタイムオート」を称し、構えただけで自動露出とAFが作動しました。
- 1991年8月α-3xi
xiシリーズの末弟で、徹底した入門機としてオートポップアップフラッシュなどを装備しました。
- 1992年3月α-5xi
xiシリーズ最後の中級機です。
- 1992年7月α-9xi
α-7xiの上位機種として、世界初のシャッタースピード最高速1/12000秒を実現しました。
- 1993年11月α-707si
αシリーズの第4世代モデル。煩雑な操作性を見直し、「1ボタン1機能」設計に回帰しました。
- 1994年1月α-303si
第4世代の廉価モデル。「シーンセレクト」方式が採用されました。
- 1995年2月α-707si japan
α-707siの総漆塗り限定バージョンです。
- 1995年2月α-507si
ダイヤル・ボタンによるシンプルな操作系(クラシックオペレーション)を採用し、後のα-9やα-7に引き継がれました。
- 1995年5月α-101si
第4世代の最廉価モデルです。
- 1995年7月α-303siスーパー
α-303siの改良型(金属マウント化、スポット測光機能追加など)です。
- 1997年6月α-807si
α-707siの改良モデル。ガイドナンバー20の大型ポップアップ式ズームフラッシュを内蔵しました。
- 1998年4月α-Sweet
普及型AF一眼レフとして、小型・軽量をコンセプトに発売されました。
- 1998年12月α-9
プロ向け機種。α初の視野率100%ファインダー、1/12000秒の高速シャッターなど、カメラとしての基本機能を徹底的に追求した機種です。
- 1999年3月α-Sweet S
α-Sweetの廉価版で、上級者向け機能を省いたシンプルな構成です。
- 1999年8月α-360si
α-Sweet Sの廉価版で、実質的なプログラムオート専用機です。
- 1999年11月α-9Ti
α-9のチタン外装による限定モデル(世界限定1000台)です。
- 2000年9月ミノルタ α-7
背面に大型ナビゲーションディスプレイが搭載され、中堅機種の極致とも言える多機能を持ちました。
- 2001年7月α-SweetII
α-Sweetの後継機。AF一眼では最小クラスの小型軽量化を実現しました。
- 2001年11月α-7 LIMITED
α-7が世界三大カメラ賞を受賞した記念の限定版です。
- 2002年6月α-SweetII L
α-Sweet IIの廉価版で、上級者向け機能を省いた入門機クラスです。
- 2004年1月α-70
ミノルタブランドでの最後の一眼レフカメラ。
デジタルカメラ・シリーズ
ミノルタ/コニカミノルタ時代に発売されたαマウントのデジタル一眼レフカメラは以下の2機種です。
- 2004年11月α-7 DIGITAL
コニカミノルタとして発売されたAFデジタル一眼レフカメラ。レンズ交換型AFデジタル一眼レフカメラとして世界初のボディ内手ぶれ補正機構(イメージセンサーシフト式)を採用しました。APS-Cサイズ(610万画素)センサーを搭載。
- 2005年8月α-Sweet DIGITAL
α-Sweetのデジタル版。上位機種と同様にボディ内手ぶれ補正機構が採用されました。APS-Cサイズ(610万画素)センサーを搭載しています。
- 2006年1月ソニーへ事業継承発表
コニカミノルタがカメラ事業から撤退し、αマウントシステムを含むデジタル一眼レフカメラ関連事業をソニーに譲渡することが発表されました。
その後の事業の変遷
コニカミノルタは、デジタルカメラの競争において光学技術やメカトロ技術だけでは競争力のある製品をタイムリーに提供することが困難になったことを理由に、2006年1月19日にカメラ事業からの撤退を発表しました。
コニカミノルタのデジタル一眼レフカメラシステムの一部資産は、2006年3月31日付けでソニーへ譲渡されました。これにより、ソニーは「αマウントシステム」に準拠した新たなデジタル一眼レフカメラの開発を加速し、その夏(2006年6月9日)にソニーαの第一弾モデルである「α100」を発売しました。ソニーは、ミノルタから継承した長年の光学技術、製造ノウハウ、および世界初のボディ内蔵手ブレ補正技術を獲得しました。
ソニーAマウント時代(2006年〜2016年):デジタル一眼レフとSLT
ソニーはコニカミノルタの技術を継承し、Aマウントでデジタル一眼レフ市場に参入しました。Aマウント機は、光学ファインダー搭載機と、固定式透過ミラー技術(トランスルーセント・ミラーテクノロジー)を搭載したSLT(Single Lens Translucent)機に分けられます。
- 2006年6月α100
ソニーαの第一弾モデル。コニカミノルタ時代のαSweet DIGITALの後継機であり、技術を大幅に継承。CCDシフト方式の手ぶれ補正機構をボディに内蔵。
- 2007年11月α700
ハイアマチュア機。APS-CサイズCMOSセンサー「Exmor」を搭載。コニカミノルタα-7DIGITALの後継機といえる。デジタル一眼レフカメラとして初めて16:9撮影やHDMI端子を搭載。
- 2008年2月α200
α100の後継機。α700と同等のシステムを一部使用し、AF速度や手ぶれ補正を改善。
- 2008年3月α350
入門機。ライブビューを搭載し、背面モニターが上下に振れる(可動式)。他社と異なり専用CCDでライブビューを行うため、従来通りAFシステムを使用できた。
- 2008年7月α300
α200にライブビューを搭載したモデル。
- 2008年10月α900
Aマウントのハイエンド機/フラッグシップ機。「αの最高峰」と謳われた。35mmフルサイズCMOSセンサー「Exmor」を採用し、ファインダー視野率約100%を実現。BIONZプロセッサを2個搭載したDual BIONZシステムを採用。
- 2009年6月α230
α200の後継機。ボディ・レンズの軽量化が図られ、メディアがCFからSD/メモリースティックデュオに変更された。
- 2009年6月α330
α300の後継機。軽量化、メモリーデュオ対応、グリップ・モニター仕様の変更があった。
- 2009年6月α380
α350の後継機。α330と同様の変更に加え、有効画素数が1420万画素に引き上げられた。
- 2009年9月α550
α380などの上位機種。ISO12800まで対応。オートHDR機能、マニュアルフォーカスチェックライブビューを搭載。
トランスルーセント・ミラーテクノロジー搭載機種
2010年以降、ソニーはミラーボックスを取り払い、固定式の透過ミラー(ハーフミラー)を使用したSLT(Single Lens Translucent)方式に移行しました。これにより、EVF(電子ビューファインダー)を採用し、高速AFでの連写が可能になりました。型番は「SLT-A」、後に「ILCA-」に変わります。
- 2010年8月α55
トランスルーセント・ミラーテクノロジーを初搭載。最大毎秒AF追従10コマの高速連写を実現し、ベストセラーとなった。
- 2010年8月α33
α55の廉価版。連写能力が毎秒7コマに減少、GPSが省略された。
- 2011年10月α77
SLT方式のハイエンドAPS-C機。α700の後継機種とされる。最大毎秒12コマの高速連写、有機ELファインダー「XGA OLED Tru-Finder」を搭載。
- 2012年1月α65
α77の廉価版。連写能力が毎秒10コマに減少。
- 2012年4月α57
α55の後継機。テレコン連続撮影優先AEモード時に最大毎秒約13コマ連写が可能。
- 2012年6月α37
α35の後継機。
- 2012年10月α99
α900の後継機種だが、構造は大きく異なる。SLT方式のフルサイズ機。デュアルAF(19点位相差AFセンサーと102点像面位相差センサー)を搭載。アクセサリーシューにマルチインターフェースシューを採用。
- 2013年8月α58
α57の後継機。有機ELファインダーを採用したが、連写速度や液晶画面のスペックが劣化した点も見られる。
- 2014年6月α77 II
α77の後継機。世界最多となる79点位相差AFセンサーを搭載。型番がILCA-xxxに変わった最初のAマウント機。
- 2016年11月α99 II
Aマウントの最終フラッグシップ機。裏面照射型フルサイズExmor R CMOSセンサー(4240万画素)を搭載。AF/AE追従12コマ/秒連写、ハイブリッド位相差AF、5軸手ブレ補正を搭載。
- 2021年生産終了
Aマウントボディの生産終了が公式に発表され、事実上その歴史に幕を下ろした。
ソニーAマウント時代の特徴
ソニーがAマウントシステムを継承してから撤退するまでの時期は、デジタル一眼レフ市場において先行するキヤノンやニコンに追いつくための「伝統(Aマウント)と革新(エレクトロニクス技術)」の融合を試みた期間でした。
継承と革新の葛藤
ソニーは2006年にコニカミノルタから事業を継承しましたが、デジタル一眼レフのαシリーズは「正直鳴かず飛ばずで、ずっと赤字続きだった」とされています。
フルサイズへの挑戦
2008年、α900を発売し、フルサイズ一眼レフ市場に参入しました。これは光学技術を極めた本格派のカメラでしたが、販売面では苦戦しました。
SLT技術の導入
従来の光学ファインダー搭載機から、2010年のα55以降、トランスルーセント・ミラーテクノロジー(SLT)を導入しました。これにより、ミラーアップなしで高速なAF追従連写を可能にするなど、電子化による新しい領域のデジタル一眼レフカメラを開発しようと試みました。
最終的にソニーは、Aマウントでの苦戦をバネに、2010年に並行して立ち上げたEマウント(ミラーレス)へと戦略の軸足を移し、2016年のα99 IIを最後にAマウント機の新製品開発は終了しました。
ソニー Eマウント時代(2010年〜現在):ミラーレス一眼
ソニーはデジタル一眼レフ市場での苦戦を受け、2010年代に入りミラーレス一眼カメラ市場へと戦略を転換しました。Eマウント(ILCE-、NEX-)は、ミラーレス機に採用されている規格です。
ソニーが2010年に立ち上げた「NEX」シリーズは、Aマウント時代からEマウント時代への移行を決定づけた、APS-Cサイズのセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラのパイオニアです。
NEXブランドは後に「α(アルファ)」ブランドに統一されましたが、ここでは日本国内で「NEX」の名称を冠して発売された主要なカメラを時系列でご紹介します。
- 2010年6月NEX-3
Eマウント規格を採用した初期ミラーレス一眼カメラです。有効約1420万画素APS HD CMOSセンサーを搭載し、MPEG4形式の720p動画撮影に対応しました。
- 2010年6月NEX-5
NEX-3と同時に発売された上位モデルです。当時、APS-Cサイズの大きなイメージセンサーを搭載したレンズ交換式デジタルカメラとして世界最小・最軽量(本体のみ約229g、最薄部24.2mm)を達成しました。AVCHD形式の1080/60iフルハイビジョン動画撮影に対応しています。
- 2011年6月NEX-C3
NEX-3の後継機です。有効約1620万画素CMOSセンサーを搭載し、省電力化により撮影可能枚数が向上しました。発表時点で、APS-Cサイズセンサー搭載レンズ交換式カメラボディにおいて、再び世界最小・最軽量を実現しました。
- 2011年9月NEX-5N
NEX-5の後継機です。有効約1610万画素センサーを搭載し、常用ISO感度がISO100から25600まで対応しました。AVCHD形式の1080/60p動画記録が可能となり、タッチパネルを搭載しています。
- 2011年11月NEX-7
NEXシリーズのハイエンドモデルです。有効約2430万画素APS HD CMOSセンサーと、高精細な有機EL電子ビューファインダー(XGA OLED Tru-Finder)Tri-Dial Naviを採用しています。
- 2012年6月NEX-F3
NEX-3/C3シリーズの後継機です。3シリーズとしては初めてAVCHD形式のフルハイビジョン動画撮影に対応しました。液晶モニターが上方向に180度回転し、自分撮り(セルフィー)が容易になったほか、内蔵フラッシュも搭載されています。
- 2012年11月NEX-5R
NEX-5Nの後継機です。ファストハイブリッドAF(像面位相差AFとコントラストAFの組み合わせ)を初搭載し、合焦速度が大幅に短縮されました。また、無線LAN機能を標準搭載し、PlayMemories Camera Apps(アプリ追加機能)に対応しました。
- 2012年11月NEX-6
NEX-7の下位機種にあたりますが、NEXシリーズで初めてモードダイヤルを搭載し、一眼レフに近い操作感覚を実現しました。有機ELファインダーと無線LAN機能を搭載しています。
- 2013年3月NEX-3N
NEX-F3の後継機です。本体側にパワーズームレンズ操作用のズームレバーを搭載したほか、グリップが薄くなり女性でも持ちやすいよう改善されました。
- 2013年9月NEX-5T
NEX-5Rのマイナーチェンジモデルです。αシリーズでは初めてNFCに対応し、ワンタッチでスマートフォンと接続できるようになりました。
APS-Cセンサー搭載機α5000/6000シリーズ、そしてZVシリーズへ
NEXの名称は廃止され、その小型軽量コンセプトはα5000/6000シリーズに引き継がれました。
- 2014年2月α5000
NEX-3Nの後継。APS-Cサイズセンサー搭載レンズ交換式デジタルカメラとして世界最小最軽量を謳って発売。画像処理エンジンBIONZ Xを搭載。
- 2014年3月α6000
NEX-6とNEX-7を統合した後継機。179点位相差AFセンサーによるファストハイブリッドAFを搭載し、AF合焦速度0.06秒を誇る。
- 2014年9月α5100
NEX-5Tの後継。α6000同様の179点位相差AFによるファストハイブリッドAFを搭載。モニターはタッチ対応の180度チルト可動式。
- 2016年3月α6300
α6000の上位機種。AF位相差センサーが425点に増加し、AF合焦速度0.05秒と世界最速を更新。4K動画撮影(XAVC S 4K)に対応。
- 2016年12月α6500
APS-C Eマウント機で初めてボディ内蔵5軸手ブレ補正を搭載。新しいフロントエンドLSI採用で最大307コマの連写が可能。
- 2019年2月α6400
エントリー向け。新世代BIONZ Xを搭載し、フルサイズαの動体予測アルゴリズムを最適化することで、世界最速の0.02秒AFを実現。180度チルト可動式液晶モニターを搭載。
- 2019年10月α6100
α6000の後継にあたる廉価モデル。液晶が180度チルトのタッチ対応モニターになり、静止画撮影時のリアルタイム瞳AFに対応。
- 2019年11月α6600
α6500の後継でAPS-Cの最上位モデル。バッテリーがフルサイズ機と同じZバッテリーに変更され、ロングバッテリーライフを実現。ボディ内手ブレ補正を搭載。
- 2021年9月ZV-E10
VLOGCAMシリーズとして初のレンズ交換式ミラーレス一眼。ファインダーを廃し、Vlog用途に特化。
- 2023年7月α6700
α6600の後継機。有効約2600万画素の裏面照射型CMOSセンサーと、最新エンジンBIONZ XRを搭載。フルサイズ機α7R Vと同じAIプロセッシングユニットを搭載。4K 120p動画記録に対応。
- 2024年8月ZV-E10 II
ZV-E10の後継機で、AF性能や手ブレ補正が強化。処理性能やバッテリー持ちも向上し、コンパクトなボディのまま、Vlog撮影をより快適に楽しめるモデル。
フルサイズセンサー搭載機(α7, α9, α1, ZV-E1シリーズ)
ソニーは2013年11月に世界初のフルサイズセンサー搭載ミラーレス一眼カメラとしてα7/α7Rを発売し、Eマウントシステムをフルサイズ領域へと拡大しました。
- 2013年11月α7
世界初のフルサイズミラーレスカメラ。約2430万画素Exmor CMOSセンサー搭載。BIONZ Xを初搭載。
- 2013年11月α7R
α7の派生機。高画素・高解像度モデル(R=Resolution)。有効約3640万画素センサー(ローパスフィルタレス)を搭載。
- 2014年6月α7S
高感度特化モデル(S=Sensitivity)。最大ISO409600に対応。約1220万画素センサー搭載。
- 2014年12月α7 II
α7の後継機。フルサイズ機では世界初のセンサーシフト式5軸手ブレ補正を搭載。
- 2015年8月α7R II
世界初の4240万画素裏面照射型フルサイズExmor R CMOSセンサーを搭載。5軸手ブレ補正とハイブリッドAFを搭載。
- 2015年10月α7S II
5軸手ブレ補正を搭載し、本体での4K/30p動画撮影に対応。
- 2017年5月α9
Eマウント機初のプロフェッショナル向けモデル。積層型CMOSセンサーとBIONZ Xにより、AF/AE追従最高20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影を実現。
- 2017年11月α7R III
約4240万画素。AF/AE追従で最高約10コマ/秒の高速連写に対応。5.5段の5軸ボディ内手ブレ補正を搭載。
- 2018年3月α7 III
ベストセラーモデル。新開発の裏面照射型2420万画素センサーを搭載。常用ISO感度最高51200にアップ。
- 2019年9月α7R IV
世界初となる有効約6100万画素CMOSイメージセンサーを搭載。
- 2019年11月α9 II
α9の上位モデル。メカシャッター時で最高約10コマ/秒、電子シャッターで最高約20コマ/秒の連写に対応。プロのワークフロー(ファイル転送など)をサポートするために強化。
- 2020年10月α7S III
動画性能が大幅に強化。4:2:2 10bit 4K 120p動画記録に対応。新しい画像処理エンジンBIONZ XRを初搭載。
- 2020年10月α7C
携帯性に特化した新シリーズ。ボディ内手ぶれ補正搭載フルサイズミラーレスとして世界最小、最軽量を謳った。
- 2021年3月α1
ソニーα Eマウント機で初めてフラッグシップを謳うモデル。有効約5010万画素積層型CMOSセンサーとBIONZ XRを搭載。最高約30コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影、8K 30p動画撮影に対応。
- 2021年12月α7 IV
α7 IIIの後継機。新開発の有効約3300万画素センサーとBIONZ XRエンジンを搭載。5軸手ブレ補正は約5.5段分。スーパー35mmで4K 60p撮影が可能。
- 2022年11月α7R V
約6100万画素。AIプロセッシングユニットを新搭載し、被写体認識精度が向上。5軸手ブレ補正が8段に進化。8K 24p動画撮影に対応。
- 2023年4月ZV-E1
Vlog用途特化のフルサイズモデル。光学式ボディ内手ブレ補正機構搭載のフルサイズミラーレスとしては最軽量かつ最小(399g)。α7S IIIと同等のセンサーを搭載。
- 2023年10月α7C II
α7Cの後継機。有効約3300万画素センサーとAIプロセッシングユニットを搭載。
- 2023年10月α7CR
α7Cシリーズの高画素モデル。コンパクトボディに有効約6100万画素センサーを搭載。
- 2024年1月α9 III
フルサイズミラーレススチルカメラとして世界初のグローバルシャッター方式イメージセンサーを搭載。AF/AE追従最高約120コマ/秒の連続撮影が可能。
αシリーズの進化の要点と変遷
ソニーのαシリーズの歴史は、大きく分けてAマウント(一眼レフ/SLT)からEマウント(ミラーレス)への移行を軸に展開されました。
1. Aマウント時代の継承と挑戦 (2006年〜2016年)
ソニーは2006年にコニカミノルタから事業を継承し、Aマウントのデジタル一眼レフとして「α100」(2006年)やフルサイズ機の「α900」(2008年)を発売しました。しかし、この時期は先行するキヤノンやニコンに勝つことができず、Aマウント事業は赤字続きで苦戦していました。
この状況を打開するため、ソニーは従来のクイックリターンミラーの代わりに固定式透過ミラーを用いたトランスルーセント・ミラーテクノロジー(SLT)を開発し、「α55」(2010年)や「α99」(2012年)を発売しましたが、市場での売上には繋がらなかったようです。
2. Eマウントの開拓とフルサイズミラーレスの確立 (2010年〜)
2010年、ソニーはミラー機構を取り払った小型軽量のEマウントシステムと「NEX」シリーズ(APS-Cセンサー搭載)を発売し、ミラーレス市場に参入しました。当初、Eマウントはフルサイズ利用を想定していませんでしたが、将来的な技術的ボトルネックを避ける設計がなされていました。
そして2013年11月15日、「α7」と「α7R」を発売し、世界で初めて35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラという新カテゴリーを確立しました。これは「フルサイズ=一眼レフ」という当時の常識を覆すもので、市場に大きな衝撃を与えました。
3. プロ市場への本格参入と高速性能の追求
α7シリーズの初期モデルでは操作性やAF性能、バッテリーの持ちなどプロの要求に応えられていない部分がありましたが、「α7R II」(2015年)の登場以降、プロ層からの支持を得るようになり、特に風景写真家やスタジオフォトグラファーから受け入れられました。
さらに、2017年の「α9」の発売により、AF/AE追従で20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影を実現するなど、高速性能に特化することで、報道やスポーツ分野といった従来のキヤノンやニコンが占めていたプロ市場への侵食を明確な戦略として実行しました。 この高速性能への飽くなき追求は、「α1」(2021年)や世界初のフルサイズグローバルシャッターを搭載した「α9 III」(2024年)といったフラッグシップモデルの開発に結実しています。
ソニーのαシリーズは、ミノルタが築いたAマウントの土台(AF技術やボディ内手ブレ補正) を受け継ぎつつ、ソニーのエレクトロニクス技術(イメージセンサー、画像処理エンジン、EVF) を融合させ、特にミラーレス市場において業界をリードする存在となりました。
ソニーのカメラ事業の軌跡は、古い技術の資産を大切にしながらも、全く新しい市場(ミラーレス)を自ら開拓し、最終的に業界の巨人に挑み、その地位を揺るがすまでに至りました。


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