TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD(A056)を1年半使用したレビューと、純正レンズであるソニー70-200mm f4 G OSSとの比較を中心にまとめてみました。
実際に使ってみて感じたメリット・デメリットや、作例とともに分かりやすく解説していきます。
「TAMRONの望遠レンズってどうなの?」「画質は?」「手ブレ補正はないけど大丈夫?」など気になる疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD(A056)
TAMRON 70-180mm f2.8 Di III VXD(A056)は、タムロンがソニーEマウント向けに発売した大口径望遠ズームレンズです。発売から4年以上が経ち、2023年には2型(G2)も発表されましたが、依然として初代モデルも高い評価を得ています。
どんな人におすすめ?
- コンパクトな望遠ズームを探している人
- コスパ重視で選びたい人
- 風景、ポートレート、スナップ撮影をする人
- スポーツや動体撮影はしない人
私自身も1年半ほど使用し、主に風景・ポートレート・旅行撮影で使用してきました。そんなリアルな使用感をもとにレビューしていきます。
2. 主な特徴
Tamron70-180mm f2.8(A056)の大きな特徴は以下の5つです。
1. 軽量コンパクト
大口径の望遠ズームは、通常サイズも重量も大きくなりがちです。しかし、このレンズは重さが約810gで全長も149mmと軽量コンパクトに設計されています。
持ち運びがしやすく、旅行やスナップなど機動力を重視する撮影スタイルにぴったりです。
2. 価格が安い
純正の「FE 70-200mm f4 G OSS」は、新品では約15万円前後。
一方で、Tamron70-180mm f2.8は新品でも約10万円前後で手に入れることができます(価格は変動あり)。
大口径f2.8の望遠ズームとしては破格の価格帯で、コストパフォーマンスが非常に高いです。
3. シャープでキレのある画質
「価格が安い分、画質が劣るのでは?」という不安を持つ方もいるかもしれませんが、実際のところ非常にシャープでキレのある描写をしてくれます。
ポートレートでもカリッとした画が得られ、背景をきれいにぼかすことも可能。
風景撮影でも細部の描写力が十分高く、解像感にも満足です。
4. 通しでf2.8という明るさ
純正のf4よりも一段明るいf2.8通しを実現。
夜景や室内、夕暮れなどの光量が少ないシーンでも、シャッタースピードを稼ぎやすく、ISO感度を抑えられます。
また、大きく背景をぼかして被写体を際立たせたいポートレート撮影でも威力を発揮します。
5. 近接撮影能力(マニュアルフォーカスで最短撮影距離27cm)
ワイド端(70mm側)で最短撮影距離27cmまで寄れるため、マクロ的な表現も可能。
大口径望遠ズームとしては珍しいほど寄れる性能を持ち、被写体を大きく写し込む楽しさがあります。
周辺部分はピントが合わないので注意が必要です。
3. ソニー70-200mm f4 G OSSとの比較
大きさや焦点距離、価格など、主なスペックを比較すると以下のようになります。
レンズ名称 | TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD(A056) | SONY FE 70-200mm F4 G OSS (SEL70200G) |
発売日 | 2020年5月14日 | 2014年3月20日 |
焦点距離 | 70-180mm | 70-200mm |
明るさ | f2.8 | f4 |
重量 | 約810g | 約840g |
長さ | 149mm | 175mm |
手ブレ補正 | なし | レンズ内手ブレ補正搭載 |
レンズ構成 | 14群19枚 | 15群21枚 |
最短撮影距離 | AF時 0.85m (ズーム全域) (MF時 0.27m (WIDE)/0.85m (TELE)) | AF時 1- 1.5m MF時 1-1.35m |
最大撮影倍率 | AF時 1:4.6 (MF時 1:2 (WIDE) / 1:4.6 (TELE)) | 0.13(倍) |
フィルター径 | φ67mm | φ72mm |
価格 | 約10万円前後 | 約15万円前後 |
ポイント解説
- 焦点距離
ソニー純正は200mmまで対応している一方、タムロンは180mm止まり。ただし、20mmの違いは撮影スタイルによってはあまり気にならないケースが多いです。 - 明るさ (f値)
タムロンはf2.8通しなので、背景ボケが大きく撮れるほか、暗い場所でもシャッター速度を確保しやすいメリットがあります。 - 手ブレ補正の有無
純正レンズには光学式の手ブレ補正が搭載されていますが、タムロンにはありません。最新のカメラボディ(α7R V、α7IV、α7C IIなど)ではボディ内手ブレ補正が強化されているので、実際の撮影でそこまで大きな問題にはなりにくいと感じています。 - 価格
純正レンズが約15万円に対し、タムロンは約10万円前後なのでコスパ面で優位です。
4. デメリット・注意点
1. 手ブレ補正がない
望遠域は手ブレが起きやすいため、レンズ側に手ブレ補正があると便利です。
しかし、α7III以降のボディ内手ブレ補正はかなり優秀なので、個人的には大きな不満はありません。
最新のα7CIIに乗り換えてからは、さらに手ブレ耐性が高まった印象があります。
2. 望遠端が180mmまで
純正の200mmに比べると20mm短いですが、筆者の場合はソニーの全画素超解像ズーム機能を使って2倍まで拡張できるため、実使用ではほとんど不満を感じませんでした。
3.AF-S時にAF速度が低下する
撮影時に少し気になったのがAF-S(シングルAF)時にAFの速度が低下する点。
低下というより、AF-C(コンティニュアスAF)時は爆速にピントが合いますが、AF-S時にピントが合うのがAF-Cよりは早くないといった印象です。
理由は不明ですがAF-S時にはVXDの性能が発揮されていないように感じました。
5. 作例
ここでは、実際にTamron70-180mm f2.8(A056)を使用して撮影した作例をご紹介します。
- 遠景の風景撮影: 山並みや街並みを圧縮して、迫力ある構図が撮影可能。
- ポートレート: 開放f2.8で背景を大きくぼかし、被写体を際立たせる。
- 旅行スナップ: 軽量で持ち運びやすく、スナップ感覚で遠くの被写体も手軽に捉えられる。
- 近接撮影(ワイド端): 花や小物にぐっと寄って、マクロ的な表現を楽しむこともできる。
6. 1年半使用して感じた感想
買ってよかった度:★★★★☆(星4つ)
- 初の望遠レンズとして最適
筆者のように、「標準ズームや広角ズームは持っているけど、望遠域も試してみたい」という方におすすめ。 - 携帯性と画質のバランスが絶妙
純正よりコンパクト&コスパが良いうえに画質も十分シャープ。持ち出しのハードルが低く、出番が増えました。 - f2.8のメリットを存分に活かせる
純正のf4よりも明るいので、夜のスナップやスポーツ、ポートレートなどで活躍。背景のボケ感も満足度高し。 - 200mmより短い180mmは実用上あまり気にならない
超解像ズームやトリミングである程度カバー可能なので、筆者は特に不満を感じませんでした。
7. まとめ
- 軽くてコンパクト
- コスパの高い価格帯
- f2.8通しの明るさとシャープな画質
- 近接撮影もできる柔軟性
といった魅力を兼ね備えた、大変バランスに優れた望遠ズームレンズです。
手ブレ補正が非搭載である点は注意が必要ですが、最新のソニーボディなら実用上そこまで問題にならないでしょう。
「これから望遠域に挑戦してみたい」という方にとっては、コストパフォーマンス、携帯性、画質のすべてをバランスよく満たすレンズとしておすすめできます。
ソニー純正の70-200mm f4 G OSSと比較しても、より明るいf2.8通しや軽量設計が魅力なので、ぜひ候補に入れてみてください。
望遠ズーム選びで悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
後継機のG2はこちら
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