TTArtisan(銘匠光学)とは?|おすすめレンズは?

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会社概要と企業理念

TTArtisan(ティーティーアーティザン)は、銘匠光学(めいしょうこうがく)が展開する交換レンズブランドです。銘匠光学は、中国の深圳(シンセン)に拠点を置く光学メーカーで、2019年に設立されました。同社の正式名称は深圳市銘匠光学科技有限公司(Shenzhen Mingjiang Optical Technology Co., Ltd)です。

銘匠光学は「若さと経験を兼ね備えた企業」として、レンズの製造、研究開発、および販売に専念しています。彼らは「創意工夫は永遠に続く」(The Thinking Artisan)を信条とする技術者であると述べています。

正規代理店と製品ラインナップ

日本国内においては、株式会社焦点工房がTTArtisanの正規代理店を務めており、製品の販売や問い合わせ窓口を担っています。

TTArtisanは、高性能なライカMマウントレンズを起点に、各種ミラーレスカメラ用の交換レンズを幅広くラインアップしています。製品には、オートフォーカス(AF)レンズ、開放F0.95の超大口径レンズ、アポクロマート設計の高性能レンズなどが含まれ、その精巧な仕上がりと優れた描写により、現在世界中で高い評価を得ています。

フルサイズ対応レンズだけでなく、APS-Cサイズ対応レンズや、シネレンズ、各種アクセサリー(アダプターリング、レンズフード、露出計、ビューファインダーなど)も提供しています。

魅力的な価格設定と優れたビルドクオリティ

TTArtisanのレンズの最大の特徴は、その安価な価格設定と、価格からは想像できないほどの高いクオリティです。特にコンパクトなレンズは、1万円から3万円程度という手頃な価格帯で多く提供されています。

多くの製品で鏡筒には総金属製(フルメタル製)の素材が採用されており、非常にしっかりとした作りです。金属感があり、ずっしりとした重厚な作りは、所有感を高めてくれます。また、多くのマニュアルフォーカス(MF)レンズにはクリック感のある絞りリングが備わっており、滑らかで心地よい操作感を提供します。

オールドレンズのような描写と設計思想

TTArtisanのルーツは、ライカ互換のレンズ製作に理想を求めるエンジニアにあると推測されています。この設計思想は、現代の日本製レンズが追求するような高いコントラストやカリカリの解像感とは一線を画した、個性的な描写傾向につながっています。

具体的な描写傾向として、「オールドレンズ的写り」や「柔らかな表現ができるレンズ」として評価されることが多いです。特に絞り開放付近では、ディテールが柔らかな写真となり、逆光の環境ではフレアやゴーストが発生しやすく、レトロでエモい雰囲気を楽しめます。

MFレンズには電子接点がなく、ピント合わせは手動で行う必要がありますが、この「不便さ」が、被写体とじっくり向き合い、どこにピントを持っていくかを考える「撮影の楽しさ」を提供してくれると評価されています。

AFレンズへの進出と多様なマウント対応

長らくMFレンズを中心に展開してきましたが、近年はAF(オートフォーカス)レンズの開発にも注力しています。AFレンズにはSTM(ステッピングモーター)方式が採用され、スムーズで静かなAF駆動を実現し、瞳AFにも対応しています。

マウント対応が非常に幅広いことも特徴の一つです。フルサイズ対応の製品ではライカMマウント、ソニーE、ニコンZ、キヤノンRF、Lマウントなど、APS-C対応の製品では富士フイルムX、ソニーE、マイクロフォーサーズ、キヤノンEF-M、ニコンZ、Lマウントなど、多くのマウントに対応するラインナップが存在します。

TTArtisanのレンズは種類が豊富ですが、特に個性的で評価が高いレンズを目的別にいくつか紹介します。

初めてのMFレンズに:TTArtisan 35mm f/1.4(APS-C)

このレンズは、焦点工房の交換レンズ売れ筋ランキングで1位を獲得した実績があり、初めてマニュアルフォーカスレンズを使う方におすすめされる代表的な一本です。

APS-Cフォーマット対応で、35mm判換算で標準画角(50mm相当)が得られます。開放F値はF1.4と明るく、価格は12,400円程という驚異的なコストパフォーマンスが魅力です。重さはわずか180gと軽量で携行性に優れます。

描写は、開放では甘く、絞るほどにシャープになるという典型的なダブルガウス構成の特徴を持ち、近距離では滑らかで美しいボケを楽しむことができます。

超コンパクトな標準レンズ:TTArtisan 50mm f/2(フルサイズ)

フルサイズ対応でありながら、超コンパクトで軽量な単焦点レンズです。長さはたったの35mm、重さは190gと、パンケーキレンズのようなサイズ感です。

価格は1万円台前半と非常に安価で、フルサイズユーザーがF値の小さな単焦点レンズを手に入れる選択肢として大きなメリットがあります。このレンズは「マウントアダプターの要らないオールドレンズ」と称され、柔らかな描写と周辺光量落ちによって、気軽にスナップ撮影を楽しむのにぴったりです。

クリエイティブな表現を追求:TTArtisan Tilt 50mm f/1.4(フルサイズ)

特殊な表現に挑戦したい方には、TTArtisan初のティルトレンズである「Tilt 50mm f/1.4」がおすすめです。

このレンズは、鏡筒を最大±8°まで傾けられるティルト機構と、360°回転できるリボルビング機能を搭載しています。これにより、意図的にピント面を傾けて、通常のレンズでは得られない極端に浅い被写界深度を作り出すことができ、まるでジオラマやミニチュア模型を覗き込んでいるかのような独特な写真や動画を簡単に撮影できます。

開放F1.4という明るさも持ち合わせながら、価格は3万円台半ばと、ティルトレンズとしては手頃であり、多くの人がその魅力を体験できる一本となっています。

コスパ最強のAFパンケーキ:TTArtisan AF 27mm F2.8(Xマウント)

MFレンズが主流だったTTArtisanがAFレンズとして市場に投入した製品の一つです。

APS-Cカメラに対応し、35mm判換算で約41mm相当の準広角画角を持ちます。最大の特徴は、AFに対応しながらも、質量約90g、レンズ長3cmという超軽量・薄型設計である点です。STM方式のAFはスムーズで静か、瞳AFにも対応しており、高い携帯性から、普段使いやスナップ撮影の常用レンズとして最適です。価格も純正レンズと比較して非常にリーズナブルです。

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