映画体験の頂点
IMAX
なぜ世界中の映画ファンを魅了し続けるのか
映画館でふと目にする「IMAX」の文字。普通のスクリーンと比べてチケットが数百円高く、それでも列が絶えない。IMAXとは単なるブランドではない。それは映画というメディアの限界に挑み続ける、映像と音響の革命だ。
01 — 基本
IMAXとは何か
IMAXは「Image MAXimum(最大の映像)」の略で、カナダのIMAX社が開発した映像・音響システムの規格だ。1970年に世界初の常設IMAX映画館がオープンして以来、その技術は半世紀以上にわたって進化を続けてきた。
一般的な映画館のスクリーンに比べ、IMAXは圧倒的に大きなスクリーンと高解像度の映像フォーマット、独自の音響設計を組み合わせることで、観客を映像世界に「没入」させることを目的としている。
「IMAXに入ると、映画を『観ている』という感覚が消える。そこにいる、という感覚に変わる。」
02 — スペック
数字で見るIMAX
通常フィルムに対するIMAXフィルムの面積
デジタルIMAXの最大解像度(一部カメラ)
最新IMAXシアターの音響チャンネル数
70mmフィルムIMAXの縦横比。ほぼ正方形に近い
通常の映画が採用する35mmフィルムに対し、IMAXが使用する70mmフィルムは約10倍ものフィルム面積を持つ。この巨大なフィルム面積が、細部まで鮮明でクリアな映像を実現する根拠だ。
03 — 特徴
IMAXがすごい5つの理由
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01
圧倒的なスクリーンサイズ
IMAXのスクリーンは高さ最大28m、幅最大34mに達するものもある。視野角が広がることで、脳が「その場にいる」と錯覚するほどの没入感が生まれる。映画館の後方の席でも、スクリーンが視界の大部分を占める設計だ。
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02
専用カメラによる超高解像度
クリストファー・ノーランやジョセフ・コシンスキーら著名な監督が採用するIMAXカメラは、一般の映画用デジタルカメラとは桁違いの解像度を誇る。特に70mmフィルムIMAXカメラで撮影されたシーンは、デジタルが追いつけない有機的なリアリティがある。
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03
縦に広がる「Expanded Aspect Ratio」
通常の映画は横長(2.39:1や1.85:1)だが、IMAXフィルムで撮影されたシーンは1.43:1(ほぼ正方形)で上映される。建物の高さ、飛行機の降下、宇宙の広大さなど、縦の情報量が劇的に増し、体験がまるで変わる。
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04
精密に設計された音響システム
IMAXシアターは各施設ごとに音響チューニングが施されており、最新の施設では12チャンネル以上のサラウンドサウンドを採用。低音の振動が身体に伝わる設計で、爆発や宇宙空間の静寂まで、音が映像と一体化する。
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05
映画監督との深い協力関係
ノーラン、ヴィルヌーヴ、スピルバーグらのトップクリエイターたちがIMAXカメラを積極的に採用している。「オッペンハイマー」「デューン」「インターステラー」など、IMAXカメラで撮影された作品は、IMAX上映においてのみ監督の意図を100%体験できると言っても過言ではない。
04 — 歴史
IMAXの歩み
1970
カナダのオタワにて、世界初の常設IMAXシアターがオープン。大阪万博でも試験上映が行われた。
1980年代
自然科学系ドキュメンタリー映画の上映を中心に、科学館・博物館へ普及が進む。NASAとの協力プロジェクトなども話題に。
2002
「スパイダーマン」のIMAX版が公開。初めて大手ハリウッド映画がIMAXフォーマットで上映され、一般市場への扉が開く。
2008
「ダークナイト」でクリストファー・ノーランがIMAXカメラを劇映画に初使用。映画史に残る決断となる。
2010年代〜現在
デジタルIMAXの普及とレーザープロジェクターの導入により、世界中の都市部でIMAX体験がアクセスしやすくなる。日本でも主要都市に複数のIMAXシアターが存在する。
05 — 結論
IMAXに行く価値はあるか
答えは作品による。しかし、IMAXカメラで撮影されたシーンが含まれる作品であれば、その差は明白だ。特に宇宙、戦場、大自然など「スケール」が重要な映画においては、通常上映とIMAXは別の映画と言えるほど体験が異なる。
単に大画面・大音量というだけでなく、監督が意図した映像を最高の品質で届けようとする姿勢そのものがIMAXにはある。映画という芸術を最大限に尊重する鑑賞環境として、IMAXは今日も進化を続けている。
映画は観るものではなく、体験するものだ——IMAXはその哲学を具現化した空間である。


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