近年、注目を集める超小型ウェアラブルカメラ市場に、DJIから「Osmo Nano」が登場しました。強力なライバルであるInsta360の「GO Ultra」と比較して、どちらが自分に合っているのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、両モデルのスペック、デザイン、画質、音質、そして使い勝手などを徹底比較し、それぞれのカメラがどのようなユーザーに向いているのかを解説します。
1. コンセプトと基本設計:似ているようで異なる二つのカメラ
DJI Osmo NanoとInsta360 GO Ultraは、どちらもカメラ本体とディスプレイユニットが分離するモジュラータイプのカメラです。胸元に装着してハンズフリーのPOV(一人称視点)撮影ができるなど、基本的なコンセプトは非常に似ています。しかし、細かく見ていくと、それぞれの設計思想には違いが見られます。
- DJI Osmo Nano: Vision Dock(ビジョンドック)と呼ばれるモニターユニットの上にカメラを装着するスタイルです。自撮りと外向き撮影を切り替えるには、一度カメラを取り外して向きを変える必要があります。

- Insta360 GO Ultra: Action Pod(アクションポッド)にカメラを収納するスタイルで、ディスプレイがフリップするため、装着したまま自撮りと外向き撮影をスムーズに切り替えられます。

2. スペック比較:それぞれの強みは?
両者の主なスペックを比較してみましょう。
【DJI Osmo Nanoの強み】
- 4K/120fpsのスローモーション撮影が可能で、より滑らかな映像表現ができます。
- カラーグレーディングの自由度が高い10-bit D-Log Mに対応しており、本格的な映像編集をしたいユーザーに適しています。
- 内蔵ストレージを搭載しているため、SDカードがなくても撮影を開始できます。
【Insta360 GO Ultraの強み】
- Osmo Nanoよりわずかに大きいセンサーサイズを搭載しています。
- 肌をきれいに見せるポートレートモードなど、撮影時に色味を決められる多彩なモードがあります。
- HDR撮影に対応しており、空の青などが綺麗に表現されます。
3. デザインと操作性
外観デザイン
- サイズ感: カメラ本体の重さはほぼ同じですが(約1g差)、Osmo Nanoの方が厚みがあり、少し「もっさりした」印象を受けるという意見もあります。Insta360 GO Ultraの方が薄く、よりコンパクトで目立ちにくいデザインです。
- 携帯性: 全体重量ではOsmo Nanoの方が約40g軽く、携帯性に優れています。
- 起動速度: 当初のファームウェアではGO Ultraの方が高速でしたが、アップデートによりOsmo Nanoの方が速く起動するようになりました。

操作性と使い勝手
- ボタン配置: GO Ultraは電源ボタン、録画ボタン、Qボタン(クイックメニュー)があり、アクションカメラとしての操作性に優れています。一方、Osmo Nanoは各ユニットにボタンが1つずつのシンプルな構成です。
- 撮影モードの切り替え: GO Ultraはディスプレイをフリップさせるだけで自撮りと外向き撮影を切り替えられますが、Osmo Nanoはドッキングした状態だと一度カメラを外して付け直す必要があります。
- 落下防止: GO Ultraにはストラップホールがありますが、Osmo Nano本体にはなく、落下が少し心配という声もあります。ただし、Osmo Nanoは専用ケースを装着することでストラップを取り付け可能です。
4. 画質と音質
画質
- 日中:
- 画角: Insta360 GO Ultraの方が画角が広く、特に胸元につけて手元を撮影するPOVショットでは、より広範囲を捉えることができます。
- 色味: 標準カラーで比較すると、GO Ultraはコントラストと彩度が高く、シャープネスが加えられた「iPhoneに近い」印象の画質です。Osmo Nanoはよりナチュラルな色味で、編集を前提とした素材という印象です。日中の映像の色合いはほぼ同じという意見もあります。
- 夜間(暗所性能):
- Osmo Nanoは「スーパーナイトモード」、GO Ultraは「PureVideoモード」という暗所撮影モードを搭載しています。
- 比較すると、Osmo Nanoは暖色系で温かみのある映像になる傾向があり、GO Ultraはすっきりとした綺麗な映像で、ノイズ処理がより上手い印象です。
音質
- どちらのカメラも内蔵マイクの性能は高く、クリアに音声を収録できます。
- 外部マイク接続:
- Osmo NanoはDJI Micとレシーバーなしで2台まで直接接続できます。これは大きな利点です。
- ただし、Osmo Nanoは外部マイク接続中にカメラとVision Dockを切り離すと、モニターに映像が映らなくなるという制約があります。
- GO Ultraもワイヤレスマイクに対応していますが、DJI Micの普及度を考えると、Osmo Nanoの方が接続性は高いと言えるでしょう。
5. アクセサリーとエコシステム
DJI Osmo Nanoは、DJIエコシステムの恩恵を大きく受けています。Osmo ActionシリーズやOsmo 360と共通のクイックリリースマウントが使用できるため、既にDJI製品を持っているユーザーはアクセサリーを共有できます。
一方、Insta360 GO Ultraのクイックリリースは、旧モデルの「GO 3S」とも互換性がなく、他のInsta360製品とのアクセサリー共有ができません。これは複数のカメラを持ち運ぶ際に不便に感じる可能性があります。


6. 注意点:購入前に知っておくべきこと
DJI Osmo Nanoの注意点
- 熱問題: 室内(約25℃)での連続撮影テストで、25分で熱停止したという報告があります。ただし、再テストでは40分持続したり、「耐久モード」では65分撮影できたりと、環境による差があるようです。
- SDカードの役割: 撮影データは常に内蔵ストレージに記録されます。SDカードは、内蔵ストレージのデータを書き出す(エクスポートする)ための場所として機能し、撮影中の直接記録はできません。
- 外部マイク接続時の制約: 前述の通り、DJI Micなどを接続すると、カメラとVision Dockを分離してモニターとして使用することができなくなります。
- 再生機能の制約: カメラ単体では撮影した映像を再生できず、確認するにはVision Dockにドッキングさせる必要があります。
Insta360 GO Ultraの注意点
- クリップ冒頭の音声: 録画を開始した直後の音声が、わずかに記録されていないことがあるという指摘があります。これは編集時に不便を感じる可能性があります。
7. 結論:どちらのカメラを選ぶべきか?
両者を比較した結果、それぞれに異なる強みがあり、おすすめできるユーザー層が異なります。
【DJI Osmo Nanoがおすすめな人】
- 本格的な映像編集をしたい人: 10-bit D-Log Mによるカラーグレーディングの自由度は大きな魅力です。
- 既にDJI製品(Osmo Action, DJI Micなど)を持っている人: アクセサリーやマイクを共有できるエコシステムの恩恵を最大限に活用できます。
- 他のカメラと色を合わせて使いたい人: D-Log Mで撮影すれば、他のプロ向けカメラとの色合わせがしやすくなります。
- コストパフォーマンスを重視する人: GO Ultraよりも価格が安く、手に入れやすいです。
【Insta360 GO Ultraがおすすめな人】
- 手軽に綺麗な映像を撮りたい人: 編集なしでもコントラストと彩度の高い、見栄えのする映像が撮れます。
- カメラ単体での使いやすさを重視する人: フリップ式モニターや操作性の高いボタン配置など、カメラ単体で完結させたい場合に便利です。
- ロードバイクなど激しいアクティビティで使いたい人: ストラップホールがあるため、落下防止の面で安心感があります。
- より広い画角を求める人: POV撮影などでより広い範囲を写したい場合に有利です。
最終的には、あなたがカメラに何を求め、どのような使い方をしたいかによって最適な選択は変わります。この記事を参考に、ご自身の撮影スタイルに合った一台を見つけてください。










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