ニコン、キヤノン、ソニーの3社から登場したフルサイズ小型シネマカメラ「Nikon ZR」「Canon EOS C50」「Sony FX3」は、いずれも高い動画性能と携帯性を両立したモデルです。
特に、Nikon ZRとCanon C50は2025年秋に登場した新機種であり、この市場のトレンドを大きく塗り替える存在として注目を集めています。
ここでは、それぞれの特徴を比較し、どのようなクリエイターに適しているかを簡単にですが考察します。
Nikon ZR/Canon EOS C50/SONY FX3比較表
| 項目 | Nikon ZR | Canon EOS C50 | Sony FX3 |
|---|---|---|---|
| 発売時期 | 2025年10月 | 2025年11月 | 2021年2月 |
| マウント | Zマウント | RFマウント | Eマウント |
| センサー | 35mmフルサイズCMOS (フルサイズ/FXフォーマット) | 35mmフルサイズCMOS | 35mmフルサイズ Exmor R CMOSセンサー |
| 画素数 | 総画素数:2679万画素 有効画素数:2450万画素 | 総画素数:約3420万画素 有効画素数:最大約3240万画素 | 総画素数:約1290万画素 有効画素数:動画: 約 1030万画素、静止画: 約1210万画素 |
| ISO感度 | 100~51200 | 160-25600 | 80-102400 |
| ガンマ | Log3G10、N-Log、SDR、HLG | Canon Log2、Canon Log3、Canon 709、BT.709 Wide DR、BT.709 Standard、PQ、HLG | S-Log2、S-Log3、HLG、HLG1-3 |
| 記録フォーマット | Apple ProRes 422 HQ、H.265/HEVC、H.264/AVC、R3D NE / N-RAW、Apple ProRes RAW HQ | Cinema RAW Light、XF-AVC、XF-HEVC S、XF-AVC S | XAVC S-I(All-Intra) / XAVC S(H.264) / XAVC HS(H.265) 最大4K 120p / 10bit 4:2:2 |
| 動画記録 | R3D NE、ProRes RAW HQ、N-RAW、H.265など | Cinema RAW Light、XF-AVC S、XF-HEVC Sなど | XAVC S、XAVC SIなど、外部ProRes RAW |
| ダイナミックレンジ | 15ストップ以上(Log3G10) | フルサイズ時:15+ stops Super 35mm Crop時:16 stops | 15+ ストップ (S-Log3) |
| オートフォーカス | AFアシスト付きハイブリッド位相差/コントラストAF | デュアルピクセルCMOS AF II | ファストハイブリッドAF |
| 最大解像度 | 6K | 7K (7144 x 4790) | 4K (6Kオーバーサンプリング) |
| 高解像度 | 4K/120p、フルHD/240p | 4K/120p、2K/180p | 4K/120p、フルHD/240p |
| 手ぶれ補正 | 5軸センサーシフト方式(VR) | 非搭載 | 5軸センサーシフト方式(IBIS) |
| 音声 | 32bitフロート内部記録 | 2ch XLR入力 (ハンドル経由) | 4ch XLR入力 (ハンドル経由) |
| NDフィルター | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 |
| 記録メディア | CFexpress(タイプB)、XQD microSD | CFexpressカード、SDカード | CFexpress Type A / SDカード (x2) |
| モニター | バリアングル式/4.0型LCDモニター(タッチパネル)、アスペクト比16:10、約307万ドット | 3.0型 LCD 162万ドット、タッチパネル | 7.5cm (3.0型) 約 144万ドット、タッチパネル |
| 外形寸法(幅×高さ×奥行き) | 約134 x 80.5 x 49 mm | 約 142 × 88 × 95 mm | 129.7 mm x 77.8 mm x 84.5 mm |
| 重量 (本体のみ) | 約540g | 約670g | 約630g |
| 価格 | 299,200円 | 554,400円 | 581,900円 |
| 特長 | ・REDCODE RAW内部収録に対応 ・圧倒的なコストパフォーマンス ・小型軽量(ファンレス) ・32bitフロート内部記録 | ・7K内部RAWと高解像度 ・3:2オープンゲート ・SNS向けクロップ記録 ・優れたエルゴノミクス | ・確立されたワークフロー ・豊富なレンズ資産 ・優れたAF性能 ・強力な手ぶれ補正 |
| 弱点 | ・ミニマルなグリップ ・CFexpress Type Bのみ ・ファンレスによる熱問題 | ・IBIS非搭載 ・高価格 | ・外部RAW記録が必要 ・高価格 ・低解像度 |
どのようなクリエイターに適しているか?
Nikon ZR: コスト重視のソロクリエイターに最適
- 6K60P R3D RAWを内部収録できる画期的なスペックが30万円以下。
- RED独自のカラーサイエンス。
- 軽量コンパクトでジンバル運用にも適しており、最小構成でシンプルな撮影が可能。
- 他社より1インチ大きい4インチモニター搭載。
- ただし、グリップが小さく、エルゴノミクスはFX3やC50に劣ります。また、ファンレス設計のため、長時間の高負荷撮影では熱問題が発生する可能性。
Nikon ZRはデュアルスロットを備えていながら、動画の同時バックアップ記録(ダブルREC)に対応していません。この仕様についてはSNS等で賛否が分かれており、仕事で使うにはリスクヘッジができず致命的だという批判の声があります。特にワンオペで撮影・録音・管理まで一人で担うクリエイターにとっては、バックアップ収録の選択肢がないことが大きな不安材料になると指摘されてしています。
一方で、ARRIやREDなどハイエンドのシネマカメラもシングルスロット記録が基本で、プロ現場ではDITによるデータマネジメントで安全性を確保するのが標準的だという擁護意見もあります。つまり、報道やワンオペ主体の映像制作では弱点となり得る一方、映画やCMなどチームで運用する現場では大きな問題にならない仕様だといえます。
Canon EOS C50: 高解像度と最新機能を求めるプロフェッショナルに
- 7Kの内部RAW記録とオープンゲート撮影に対応。
- デュアルベース ISOやSNS向けクロップ記録など、最新の制作ワークフローに対応した機能が充実。
- エルゴノミクスに優れた一体型グリップや豊富なインターフェースを備え、プロフェッショナルな撮影現場で活躍します。
- ただし、この3機種で唯一ボディ内手ぶれ補正は非搭載、価格も高めです。
SONY FX3: 信頼性と安定性を重視する幅広いユーザーに
- このカテゴリーの先駆者として、市場での実績が豊富で、周辺機器やワークフローが確立されています。
- ソニーの優れたAF性能と強力なボディ内手ぶれ補正(IBIS)により、安定した映像制作が可能です。
- 豊富なEマウントレンズ資産があり、幅広い表現に対応できます。
- ただし、内部RAW記録に対応しておらず、外部レコーダーが必要となります。解像度も他の2機種に比べると劣ります。
SONYカメラの大きな魅力は、4K60pをわずか45Mbpsという極めて低いビットレートで撮影できる点にあります。iPhoneと同等かそれ以上にデータが軽く扱えるため、長時間の収録や大量の素材を扱う際にもストレージの負担が少なく、編集作業もスムーズに進められます。
他社のカメラでは150Mbpsから300Mbpsが一般的であることを考えると、SONYの省容量性能は際立っており、ドキュメンタリーやショートドラマ、WebCM、YouTubeといった現場で非常に重宝されているのです。
この「軽さ」と「効率性」こそが、多くのクリエイターがSONY機を使い続ける大きな理由になっています。
まとめ:小型シネマカメラの覇者は誰か?
小型シネマカメラ市場は、Nikon ZRとCanon C50の登場によって、従来のSony FX3一強時代に終止符が打たれ、競争が激化しています。
- 価格とRAW記録を最優先するなら「Nikon ZR」
- 解像度と編集の柔軟性を求めるなら「Canon EOS C50」
- 総合的な安定性と確立されたワークフローを重視するなら「Sony FX3」
というように、それぞれのカメラの特性を理解した上で、自身の撮影スタイルや予算に最も合った一台を選ぶことが重要です。




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